mCrt Release 2015 Vol.012
全てをぶつけて挑んだ最終戦
昨年のベストタイムを5秒縮めたパフォーマンス
2015年シリーズの最終戦となった鈴鹿大会。
今季は大幅なマシンの改良を施してきた戦いの集大成を発揮するべく、全てをぶつけて挑みました。
前回の岡山国際サーキットで壊れてしまったエンジンをオーバーホールし、さらに精度を上げて対策をしました。
しかしエンジンをマシンに載せることができたのがレースウィークの火曜日のこと。
当然シェイクダウンはできていない状況でした。
そのため金曜日のフリー走行が非常に大切な時間になることが予想できていましたが、車両搬入日である木曜日にミッションに不具合が発生、新品のミッションと交換することに、、。
急遽、日付が変わった金曜日の深夜1時から別の工場に置いてある新車のABARTH 695 Assetto Corseをドナーとするべくメカニックが積載車を走らせます。
新車のミッションをそのまま載せ替えるだけであればそう時間はかからずできるのですが、様々な要件を整えるために作業は金曜日の午後まで休むことなく続きました。
金曜日のフリー走行は3回。最後の3本目でようやくマシンを走らせることができました。
当然、セッティングはまだまだつまりきっていません。そのため限られた時間でエンジン、ミッション、クラッチの慣らしを施すと同時に、前回の鈴鹿でのテス ト結果を反映したサスペンションの味付けを確認しました。その上でフリー走行後、ドライバーとエンジニアで長時間にわたりミーティングを実施し、レースで の戦いの方向性を見極め、翌日の予選に向けてさらに大胆にセッティングを変更しました。
そして迎えた土曜日の公式予選。
朝一番にある30分のフリー走行ではドライバーチェンジのシミュレーション、マシン各部の確認を実施。
公式予選ではFFである49号車(ABARTH 695 Assetto Corse)のリアタイヤは温まりにくい特性のため、予選開始後真っ先にフロントタイヤを温め、すぐにピットインをしてフロントタイヤをリアタイヤにまわすことで確実にリアタイヤを温めます。
そうすることでリアタイヤを早く温めることができるためアタックするまでの時間を短縮することができます。
予選結果は今シーズン初頭から細部モディファイの積み重ね、金曜走行後のセット変更が功を奏したことに加え、アタックドライバーの気迫が昨年の予選タイムから5秒も縮めるという大幅にタイムアップをすることができました。
それでもFR勢が有利な鈴鹿サーキットにおいて決勝のグリッドはクラス14番手。
一時FF勢においてトップタイムを出していましたが、、、。
3時間の決勝はセーフティカーがレーススタート直後から入る波乱の展開。
各車がドライバーチェンジなどによりピットインする中、スタートドライバーの井尻選手が好調なタイムで走っていたこともありmCrt 49号車はピットに入らず周回を重ねます。
そのため順調にポジションを上げていき、レース中盤までST-4クラスをトップで走るほど順調でした。
鈴鹿大会での規定によりドライバー交代は2回実施しなくてはなりません。
そのため好調な井尻選手をできる限り引っ張り、タイムで劣っていたCドライバーの大塚選手を短くし、Bドライバーの大賀選手でチェッカーまでという作戦で、予選上位の他車を追い上げ、チームのピット時間を考慮しても4~6位を十分狙えると考えていました。
しかし大塚選手の走行時に他車との接触によりリアのアライメントがずれてしまい、その後もフロントに異変が起こりラップタイムを稼ぐことができず、結果として12位でチェッカーを受けることとなりました。
予選:14位(ST-4クラス)
決勝:12位(ST-4クラス)
来場者数
10/24 予選:9,000人
10/25 決勝:12,000人
Aドライバー:井尻 薫
残念の一言ですね。
金曜フリーから悪い流れでしたが、限られた時間の中では最善を尽くしてセッティングしました。徹夜で対応して頂いた監督はじめスタッフの皆様には感謝です。
何とか決勝のペースは上位に食い込むタイムで周回でき、期待を持てる展開でしたが・・・ これもレースですね。
残念ながらシーズンを通して設定した目標には届きませんでしたが、今回の決勝レースでは、アバルト695アセットコルセの可能性を大いに感じさせる事ができたのではないでしょうか?
自分自身としても、マシンの開発作業に多く関わらせて頂き、大変チャレンジしがいのある一年でした。できる事なら来年も是非このチーム・マシンで戦いたいです。
最後に、サーキットや各種イベント会場で熱心に応援して頂いたアバルトファン・オーナーの皆様、本当にありがとうございました!
Bドライバー:大賀 祐介
チームにとっても僕自身にとっても地元の鈴鹿サーキット、しかも最終戦ということで、かなり気持ちが入っていたの ですが…結果としてはとても悔しいものになり、応援いただいた皆様には申し訳ないです。 金曜のトラブルでほとんど走れなかったことをカバーすべくドライバーとチーム一丸となって取り組んだ結果、予選ではアバルトの高いパフォーマンスを発揮さ せることができましたが、ライバル勢ももちろんこの一年クルマを改良してきたのであって、すべての差を埋めることはできませんでした。 決勝では井尻選手の追い上げでかなり順位アップし、最初のピットストップを行ったまではシングルは充分狙えていただけに、その後の接触とトラブルはガック リでしました。 それでも最後のスティントでは諦めることなく、最後まで走りきって終えれたことにはチームの皆に感謝です。 この一年で本当にクルマもチームも強くなったので、あとは結果…を求めて、来年もみなさんとともに戦いたいですね!
一年間応援ありがとうございました!