DAY1 SECTION2 SS4

眞貝選手のドライビングをもっと堪能したい!
ラリー動画鑑賞をもっと楽しみたい!
そんな声にお応えして、mCrtのインカー映像をもっと楽しむ方法をお教えします!

そこで、今回はコドライバーが読み上げる謎のアイテム「ペースノート」について解説していきます。
これを受講し終わったときには、図のようなペースノートも読んで聞けるようになります!

 少々長いですが頑張って読みましょう!

 

ラリーには、大会本番直前に「レッキ」と呼ばれるスペシャルステージ(SS)の下見走行の時間が設けられています。

全日本ラリーでは、本番前日金曜日にレッキが設定されており、そこでペースノートを作成し、そのノートを清書/修正して土日の本番で使っています。

沢山の言葉でかかれているペースノートですが、最も重要な要素は、

①「コーナーの方向」

②「コーナーのベント(きつさ)」

③「コーナーの長さ」

④「コーナーとコーナーの間の距離」

この4つです。

その4つのメインワードを「基本のセット」として道を表現しています。

それでは、それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。

 

方向」はそのまま、右/左。エル/アール。レフト/ライト。

「ベント(曲がりのきつさ)」の表現は大きく分けて、ナンバー式とワード式の2種類。
一般的なナンバー式は、図のようにハンドルの切れ角にあわせて数字で読みます。

 

トップドライバーでも、レッキしやすいようにハンドルに目印を付ける方はたくさんいます。
眞貝選手の場合は、ハンドルではなくてダッシュボードに目印を着けていますね。

 

これはコーナーが「いつまで続くか」ということ。
短ければすぐに加速に移らないといけないですし、長ければアクセルを我慢しないといけません。
ショート、ロングを使って表現するのが一般的。

ベントと組み合わせると以下の通り
私がドライバーで参戦している時は、ショートは方向/ベントの前に、ロングは方向/ベントの後ろにつけることで、言い間違い聞き間違いを防いでいます。

 

これはコーナーとコーナーの間の「距離や時間」で表現します。
短い距離はinto(すぐ)やand(から)。
20メートル以上は数字で表すドライバーが多いです。

実際にやってみるとわかるのですが、目測で距離を言い当てるのは結構難しいですよ。

 

メインワードだけでは、白地図のような道のイメージはできますが、実際の道はそれだけではありません。
その為、メインワードの前後に「補助語」をつけてさらに詳細なペースノートにします。

補助語は大きく分けて4種類

①ベントの変化を表す補助語

②道の形状を表す補助語

③注意/危険情報を表す補助語

④走り方や走行ラインを表す補助語

以下に代表的な補助語を解説していきます。

 

これはベントが一定ではなくて、「途中で変化するコーナー」を表現するときに使います。
ゆるくなることは「オープン」を使うドライバーが多いですが、きつくなることは「タイト」「クローズ」の2種類で別れますね。

「オープン」「タイト/クローズ」はベントの変化、「ワイド」「ナロー」は道幅の変化。
聞き間違わないように注意!

複合コーナーでも、道幅があるなど「走行ラインは一定のベント」で走ることができる場合は「3<>3」を「4ロング」にするなどして、シンプルなノートにすることができます。

 

 

上下方向などメインワードでは表すことの出来ない「道の形状」を表現します。

 

障害物など「注意事項」を表現します。
コーションは、その度合によって「コーション」「ダブルコーション」「トリプルコーション」と変化をつけます。
その他、「砂」「岩」「グレ(グレーチング)」など、なぜ危険なのかも表します。

 

道の形状だけでは足りない部分は、「走り方」を直接指示します。
よく使われるのは「カット」「ドントカット」ですね。

最後に、車速に乗った後のきついコーナーで、読み送れないようにコドライバーが自分のために「すぐ読む」と記入(読み上げない)すれば完成!

すべて読めるようになりました!!

こんな感じでペースノートは組み立てられています。

 

ペースノートは、ドライバーが聞きやすい、理解しやすい言葉で表現します。母国語(日本語)でのノート表現が多いのではないでしょうか。

ですが、海外ラリーで使われている文法や言葉などの表現を導入し易いことや、海外のコドライバーと組む時の障壁の低さから、英語表記のノートを使う日本人ドライバーも多数います。

また、ベントと方向のどちらを前にするかは、走りやすさや聞きやすさなどを考慮して各ドライバーが決めるのですが、日本語ノートは方向を先に、英語ノートはベントを先にする方が多いです。

下表にその違いの一例をあげておきます。

 

ここまでの言葉を知っていれば、日本のラリーであれば殆どのインカーでペースノートの主要な言葉は理解できます。

ただ、眞貝選手のインカーはスピードが高く、情報量も多い為、ついていくのが大変です。
そこで、慣れるまでは車もドライバーもスピード的に聞きやすい、私がドライバーで参戦した時のインカーを御覧ください。