岡山国際大会 大賀選手レポート

岡山国際大会 大賀選手レポート

9月5日、6日に2015 スーパー耐久シリーズ第5戦が岡山県、岡山国際サーキットにて行われました。

イタリア車であるアバルト 695 アセットコルセを駆り、日本のメジャーレースで表彰台を獲得するという目標の元、私たちムゼオ チンクエチェントレーシングチームはこのレースにも参戦。

3時間で行われる決勝レースのゴールを目指して走り抜けましたので、ドライバーの大賀裕介がレポートいたします。

年間6レース日本全国のサーキットを転戦して行われるスーパー耐久シリーズも残すところここ岡山国際サーキットと鈴鹿サーキットでの2レースとなりました。

開幕戦ではトップ10位に与えられる念願のシリーズポイントを獲得することができ、更に表彰台を目指してマシンの改良を進めてきましたが、過密なスケジュールの中では思うようなテストができず、あと一歩のところで上位進出を逃す戦いが続きました。

このため、第4戦の九州オートポリス戦を苦渋の決断で欠場することに、、、、。

その空いた期間にマシンの更なる改良とセッティングのためのテストを十分に行うことで、残りの2レースを集中して戦うことになりました。

主な改良点はエンジンの出力向上、カーボンパーツの導入による軽量化、足回りの部品仕様変更によるコーナーリングの向上などと多肢にわたりました。

レースウィークが始まる前日の木曜日からサーキットに入り、直前のテスト走行もしっかりと行ってこのレースに挑むことができました。

金曜日から始まったレースウィーク公式テスト走行では走り出しから今までにない好感触!

改良したニューエンジンはとても調子が良く、直線スピードはライバルであるホンダS2000やインテグラ、トヨタ86を抑えてのST-4クラス最速。

コーナーリングも軽量化されたことと、足回りのセッティングをテストで煮詰めたことで今まで以上の力を発揮することができました。

土曜日の予選に向けて各車がしのぎを削る中、この公式テストを21台中4番手タイムで終えることができました。

また、セッション中には少しの通り雨が降りましたが、レインタイヤを装着して走行していた私に監督から無線が、、、

「た、大変だ!!」

マシンに何かトラブルか!?と思い驚きましたが

「ぶっちぎりでトップタイムやぞ!!」

なんと少ない雨量の中で私たちは他車より数秒も速く走っていたようで、雨の予報がなされていた日曜日の決勝に向けても期待の持てる内容となりました。

迎えた土曜日の予選。

好天の中、一番気温の上がるお昼からAドライバー、Bドライバー予選が行われます。

テスト終了から予選までの間には走行データをもとにエンジニアはエンジンの微妙な調整を、ドライバーは走りのチェックを行い、コンマ数秒でも短縮できるポイントをそれぞれが探し出していきます。

私たちのチームは監督以下メカニックとドライバーの他にもエンジン専門のエンジニア、ドライビングアドバイザーというスタッフが帯同しており、常にパソコンに記憶されたデータを分析しています。

ドライバーはスタッフからの走り方のアドバイスとエンジンの使用回転数などの情報をもとに予選まで頭の中で何度もシミュレーションを行います。

Aドライバー予選は井尻選手。

コースインラップでタイヤが温まりきらずにスピンしてしまいましたが、再度コースイン。

そんな状況下でもアタック1周でしっかりと井尻選手は1分45秒113というこのレースウィークでの最速タイムをマーク。

まわりのチームはニュータイヤの恩恵が大きく、上位進出とはなりませんでしたが、トップとはほぼ1秒のタイム差ということでBドライバーの私にも気合が入ります。

そしてBドライバー予選が開始。

エンジンに少しトラブルが発生しているためにターボのブースト圧を落として挑む状況にはなりましたが、しっかりとタイムを出すべくコースイン、、、

ところが、私もタイヤの温まりが思った以上に悪く、挙動を乱してしまいコースオフ、、、グラベルストップしてしまい、セッション中断となってしまいました。

なんとかピットに戻り、頭を切り替えて集中します。

セッション中断の原因となったことで、ベストタイム抹消のペナルティが課せられることが予想されていたため、2周良いタイムを出さなければならない…

足を引っ張るわけにはいかないというプレッシャーと、周回するごとにエンジンの状態が悪化していく中、なんとか2周ベストタイムとほぼ同じタイムを記録することができました。

それでも順位は下げてしまい、ABドライバーの合算から予選順位は13位となりました。

Cドライバー予選では今回からチームに加入した大塚選手がドライブ。

昨年のオートポリス戦でもチームを組んだこともあり、信頼して送り出し、セッティングの確認をすすめましたが、、、ついにはエンジンがダメになってしまい、走行を終了することになりました。

予選結果

Aドライバー  井尻薫    1分45秒113

Bドライバー  大賀裕介   1分45秒676

AB合算予選結果 ST-4クラス 13位(21台中)

Cドライバー  大塚隆一郎  1分47秒193

予選が終了した直後はドライビングミスへの反省と速いエンジンを失ったことへショックが大きく、ドライバーどうしも会話が無いほど皆が落ち込みました。

ですが、レースは終わっていません!

メカニックさんはすぐにスペアエンジンへの乗せ換え作業に取り掛かってくださり、監督は決勝の作戦を練るためにデータの確認作業を行ってくれました。

そのおかげで自然と決勝へ向けての意見がチーム内に飛び交い、少しでも順位を上げてゴールを目指すためにミーティングを重ねました。

雨の岡山はレースが荒れることが多いことも視野に入れ、決勝に向けて気持ちを切り替えました。

決勝日は天気予報通りの雨となり、朝に行われたフリー走行で乗せ換えたばかりのエンジンのチェックと雨でのセッティングの確認を行いました。

フリー走行が終わるとピットウォークとなります。

毎戦このピットウォークが唯一心休まる時間でもあり、レースファンの皆さんから応援の言葉をもらい、力にすることができる時間です。

一般のアバルトオーナーさんや、ドライビングアカデミーに参加してくださったアバルトオーナーさんも応援に駆けつけてくださり、本当に私たちは嬉しく思いました。

雨の降る中、土日で延べ1万人近くのお客さんが観戦にきてくださいました。

いよいよ決勝レースがスタート。

スタートは大塚選手が担当し、雨は上がったものの濡れた路面で苦労しながらもコースに留まり、3時間先のゴールを目指します。

スタート後の混乱でペースが上がらない事が予想されたために早めのピットインを決断したチームは、7周目に私へのドライバーチェンジと満タン給油を行い、空いたスペースでのペースアップを狙います。

路面が徐々に乾きだし、難しいコンディションでペースも思うように上がらず我慢の走りが続きました。

また、目の前でクラッシュが発生し、接触を避けるためにコース外へ飛び出すなど苦戦が続きましたが、絶対にバトンタッチする気持ちでいっぱいでした。

そして約1時間の担当を終え、残りの1時間半を井尻選手に託します。

路面もほぼドライとなり、スリックタイヤへの交換も行い、井尻選手の追い上げが始まりました。

決勝中のベストタイムとなる1分49秒375をマークしながら走りますが、、、やはり予選までのポテンシャルは発揮できません。

それでも1つでも順位を上げるべく走り切り、予選結果から1つポジションを上げた12位でチェッカーを受けました。

決勝結果

ST – 4 クラス 12位(21台中)

予選から決勝にかけてはとても厳しい戦いになってしまいました。

金曜日までの結果を考えるととても悔しい思いです。

しかし、チームの頑張りのおかげでマシンはどんどん良くなってきた今シーズン、今回はその積み重ねがついに公式テストでの結果に現れるまでになりました。

スタッフ一人一人がとてもプロフェッショナルな仕事を行いつづけてくれた成果です。

私たちドライバーもこのクルマの良い部分を引き出せるようにドライビングを磨き、進歩してくることができています。

あと一歩…そう感じることができるところまできました。

今年のレースは残すところ鈴鹿サーキットでの最終戦。

最高の結果を報告できるようもう一度気を引き締めて、チーム一丸となって取り組んでいきますので、変わらぬ応援をいただけますようよろしくお願いいたします!

 

11、新たに大塚選手を迎え、表彰台を目指した戦いがスタート

 

22、公式テストは4番手タイム! マシンは飛躍的に進化しました

 

33、走行後にはエンジニアと共にデータのチェック

 

44、路面が濡れている中、決勝のスタートをむかえます

 

55、少しでも良い順位を目指して走り続けます

 

66、後半のドライ路面では車がインリフトするほどに攻めて走ります

 

DSC047727、ピットウォークでは今回もアバルトは人気!お子様と記念撮影。

 

DSC048718、予選後にはエンジン交換を余儀なくされましたが、メカニックの必死の作業で士気が高まりました。

 

DSC050199、ピット作業時間も大事な要素。レインからドライへのタイヤ交換もスムーズに行いました。