mCrt Release 2017 Vol.009

mCrt Release 2017 Vol.009

ローマラリー 2017 mCrt 3日間の戦い
・・眞貝のドライバーリポート・・

ローマラリー 2017に参戦したmCrtは、ドライバー 眞貝知志、コ・ドライバー ダニーロ・ファパーニが『ABARTH 500 RALLY R3T』で、クラス優勝という輝かしい結果を残すことができました。

mCrtは昨年に続いて2度目の参戦でしたが、今年、ローマラリーはイタリア選手権からヨーロッパ選手権への格上げに伴い大会のスケールもアップしました。新しいコースが追加され競技区間も長くなるなど、昨年の経験だけを頼りに戦える様な大会ではありませんでした。さらにお伝えした通り、コ・ドライバーの変更があったり、一筋縄ではいかない様な条件が揃い、正直大きな不安を抱えてのラリーでした。眞貝も、時にナーバスになることもありましたが、コ・ドライバーのダニーロ、スタッフ、チーム、そして応援、ご支援いただいた多くの皆さんのパワーが一丸となって大きな壁を乗り越えて戦った結果がクラス優勝をもたらすことができました。

 

今回は、ラリー本番の3日間の戦いをドライバーの眞貝のリポートでお届けします。

 

スタートを迎えた9月15日(金)

ローマ観光名所「真実の口」近くの広場からセレモニアルスタート、警察の先導による ”何でもあり” のパレードランから「コロッセオ・クアドラート」のスーパーSS会場に移動。

ここは同様のコースレイアウトを昨年も経験していることからそつなくスーパーSSを終了。

思った以上にリラックスして初日を終了することができました。

 

開けて二日目の9月16日(土)

今年新設されたニューステージは、イタリア地元勢をしても「とてもトリッキー」と言わしめる難ステージ。最初からドラマのにおいがプンプンしてきます。

朝一番となるSS2は、スタートした直後から次々とコース脇に停車しているクラッシュ車両を目の当たりにし、「これは何か罠のあるステージだ」と嫌な予感に襲われ、徐々にドライビングのリズムを失っていきました。

続くSS3は、今回最大の難ステージと目論んでいましたが、走行していた車両がクラッシュしてステージを塞いだためキャンセル。

その後約2時間のラリーパークでの停車を挟んで迎えたSS4は、スタート直前にまたも20分ほどのスケジュール遅延でその間待機となり、タイヤが完全に冷えてしまい、スタート直後の右コーナーでスピン!まったくリズムに乗れないままフィウッジのサービス帰還。

チームは眞貝の悪いリズムを感じ取ったのか、ここで車両のセットアップを安全側に変更。タイヤも天候の悪化に備えてウェットタイヤをチョイスしましたが、SS5は運悪く完全ドライコンディション。天気にも見放されリズムを崩してしまい、車両の動きの変化にナーバスになっている眞貝は自らタイムダウン、完全に自信を失ってしまいました。

SS3の難ステージを完全日没後の夜間にリピートすることで今回のラリー最大の山場となるはずだったSS6はまたも前走車のクラッシュによりステージキャンセル。

異例のサバイバル戦となった一日目は、クラス3位で生き残りこそ果たしたものの、眞貝としては悔しさと不甲斐なさばかりが残る一日となってしまいました。

迎えた最終日の9月17日(日)

前日夜から続く断続的な雨がステージを濡らしているものの、天候はやや回復傾向の様に思えましたが、チームは変わらずウェットタイヤのチョイスに加え、サスペンションは前日の状態からさらに安全側に振ったチューニングに変更。

眞貝としては、「何で〜!?」と思いましたが、前日のパフォーマンスを考えると受け入れざるを得ません。

この日最初のステージSS7は、ラリー最長33kmの超ロングステージ。後半は路面状況もすっかり回復してタイヤもブレーキも限界を迎えた状態での走行となりましたが、ここで前日クラス1位の選手に43秒の差をつけるクラスベストタイムで肉薄、さらに続くSS8でも連続ベストタイムでついに0.7秒差でクラストップに進出!

続くSS9こそ再逆転されたものの、ラリー後半で一気に首位争いが緊迫感を帯びてきました。

お昼のサービスでは、チームは変わらず安全セットを継続。

コースの状態や他チームの状況に関わらず、タイムではなくまずトラブルなく完走を目指すというチームの一貫した強い意志を目の当たりにし、私は心を入れ替えました。

ところがSS7のリピートとなるSS10は、私の決意をあざ笑うかの様に路面は完全ドライに回復。タイヤは完全にオーバーヒート状態となり、ステージフィニッシュから5kmほど手前では右リヤタイヤがパンク!さらにそれをかばったドライビングが災いしてか残り3km付近ではフロントブレーキが完全に失われてしまい、何度もコースアウトの危機に瀕しながらの走行となってしまいました。

ゴール後にブレーキは回復、タイヤもスペアに交換。そして臨んだSS11は、スタート直後に原因不明の大きな振動が発生という新しいトラブルが発生!次から次とドラマが勃発!スロー走行でステージを走り切ったものの、ダニーロと「残念ながらここまでだね」とリタイヤを覚悟して、二人して落ち込みました。

幸い、マシンの足回りにゆるみが発生している箇所を特定できたため、応急処置のうえ最終ステージまで移動し、完走ペースでなんとかフィニッシュ。

「まずは無事にフィニッシュできただけでもすごいじゃないか」と、ダニーロと今回の難コースを振り返りながら話していたところ、何と先ほどまでクラストップ争いを繰り広げていたライバル車両がリタイヤしたとの報が入りました。

満身創痍ながらも無事完走を果たしたことで、クラストップフィニッシュという栄誉を手に入れました。その瞬間、チームの選択の正しさが証明され、そしてそれに応えて走り切ることが出来た喜びが爆発しました!

 

最初から最後までドラマの連続で、正直本当にとことん苦しいラリーでしたが、コ・ドライバーのダニーロ、そしてステファノをはじめとするSPORTEC Engineeringチームのみんなが、消沈する私を尻目に「TOMOを完走させる!」という強い意志を曲げずに突き通し、適切な判断をしてくれたことで、最高のプレゼントを皆様にお届けできました。

まさに、ラリーはチーム力!

コ・ドライバー、チーム、そして応援してくださる皆さまの想いに、文字通り背中を押して頂いた結果、ここに辿り着くことができました。

 

今回の成果を、サポートして下さったすべての皆さまに捧げます。

本当に、ありがとうございました。

 

そして、mCrtの新しいチャレンジがスタートします。

これからも、mCrtそして眞貝の応援よろしくお願いします。