“Rally di Roma Capitale”参戦報告

“Rally di Roma Capitale”参戦報告

イタリアナショナル選手権(C.I.R)第6戦 
“Rally di Roma Capitale”(通称:ローマラリー)参戦報告

ムゼオ チンクエチェント レーシングチーム 所属ドライバー 眞貝 知志

 結果:リタイヤ (Day1 SS8 メカニカルトラブル) / Day2再出走・完走

 

◇はじめに

 皆さん、こんにちは。mCrt所属ドライバーの眞貝 知志です。

2012年に全日本ラリー選手権JN3クラス(当時)のチャンピオンを獲得して以来、ずっと夢に見ていた「世界一レベルの高い国内選手権」イタリア選手権への挑戦を、サポーターの皆さんの応援のもと叶えることができました。結果は文字通り“当たって砕け”てしまいましたが、ドライバーとしても、1人のラリーファンとしても、本場・ヨーロッパの底知れぬモータースポーツ文化を、身をもって経験できました。

私たちがローマラリーで実際に経験したことを日本に広め、皆さんとシェアし、クルマをめぐる“幸せ感”を広めていくことがmCrtならびに私の役割だと考えています。

 

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◇ローマラリーの概要

ローマラリーは正式名称を「イタリアナショナル選手権(C.I.R)第6戦“Rally di Roma Capitale”)」といい、2016年9月23~25日、イタリアの首都・ローマ市内および近郊の山岳地帯に設けられた15のSS(スペシャルステージ:競技区間)で競われます。ラリーの総走行距離はレキを含めると1000kmを越え、SSの総距離は約151km。路面はターマック(舗装)です。イタリアのラリーというと伝統ある「サンレモ」や「サルディニア」といった名前が浮かぶと思いますが、ローマラリーは歴史こそ浅いものの、魅力的なコースに加え、一国の首都であり、世界的観光地でもあるローマの中心部で開催されるインパクトもあって、人気が急上昇しています。日本でいえば新城ラリーが都心の真ん中で行われるようなものです。

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◇参加車両について

 C.I.Rに参戦する車両はFIAの規定に従い競技用に改造された状態でメーカーから出荷されている「R車両」です。

今回は私たちが全日本ラリーで走らせている「ABARTH 500 Rally R3T」の同型車を地元のラリードライバーからお借りすることができました。メンテナンスやサービスは有力チームのSportec Engineeringに依頼。初めてのイタリアでありながら、何の不安もなくドライビングに集中できる体制を作り上げてくれた関係者の皆さんに心から感謝します。

 最上位クラスの「FIA R5 クラス」は、一般の競技者が購入できる最も速いマシンで争われるカテゴリーです。エンジンは1600ccターボで4輪を駆動します。各自動車メーカーのイタリア拠点がワークス体制を敷いていて、SKODA Fabia R5/ウンベルト・スキャンドラ選手、PEUGEOT 208 T16/パオロ・アンドレウッチ選手、FORD Fiesta R5/ジャンドメニコ・バッソ選手が選手権を争っています。

 私たちmCrtチームの参戦する「FIA R3クラス」は2WDの最上位クラス。1400~1600ccのターボ(φ29吸気リストリクター付)エンジンを搭載。このクラスでは最新のRENAULT CLIO R3Tが有力で、1600ccから242HPを発揮します。イタリア国内選手権でありながら地元・イタリアメーカーのアバルト車でエントリーしたのは私たちだけでした。 ABARTH 500 Rally R3Tは全日本選手権で走らせているマシンと同じスペックで、1400cc/ 180HP。6速シーケンシャルミッションを搭載します。

 若手ドライバーの登竜門とされているのが「FIA R2クラス」。1600ccのNAエンジンを搭載した2WDマシンです。PEUGEOT 208 R2のワンメイク状態になっていて、将来のスター選手がここから出るかもしれません。そして「FIA R1クラス」にはスズキが力を入れていて、日本でもおなじみのコンパクトカー:スイフトやバレーノが活躍しています。

クラス スペック例 主なベース車
FIA R5 1600ccターボ 4WD SKODA Fabia,

PEUGEOT 208

FORD Fiesta

FIA R3 1400~1600ccターボ 2WD RENAULT CLIO (1600cc/242HP)

ABARTH 500   (1400cc/180HP)

FIA R2 1600cc NA 2WD PEUGEOT 208
FIA R1 1400cc NA 2WD SUZUKI SWIFT

SUZUKI BALENO

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◇クルー(ドライバー/コ・ドライバー)のスケジュール

ラリーウィークのスタートとなる9月17日、中部国際空港からミラノ経由でチームの拠点となるイタリア北西部の街:カルカッレに入りました。私は7月のプレテストでシート合わせを行っていましたが、コ・ドライバーの漆戸選手は今回のマシンとは初めてのコンタクトなので、念入りにシート合わせを行います。カルカッレ近郊でマシンテストを行った後、約600kmの移動を経ていよいよローマ入りです。ローマでは日本から来たチームメンバーや取材陣と合流し、移動の疲れを休める時間もなくさまざまな確認や手配に追われました。

日付 曜日 内容 場所
9/17 クルー、現地パートナーと拠点へ移動 中部国際空港~ヘルシンキ~ミラノ

ミラノ~カルカッレ (300km:リグーリア州)

9/18 現地コーディネーターと打ち合わせ・休養 カルカッレ
9/19 コ・ドライバー シート合わせ

ローマラリー前最終マシンテスト

カルカッレ近郊
9/20 クルー、ローマへ移動

日本のチームメンバー・取材陣と合流

カルカッレ~ローマ (600km)

ローマ

9/21 レキ (コース下見) ローマ・ズビアコ・フィウッジ
9/22 車検・受付 ローマ
9/23 シェイクダウン~セレモニアルスタート~SS1~ローマ市内パレード ローマ
9/24

9/25

ラリー競技本番 ローマ~ズビアコ~ローマ

ローマ~フィウッジ~ローマ

9/26 ローマ発 ローマ~ヘルシンキ~中部国際空港
9/27 日本着(8:50) 中部国際空港

 

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◇9/21 レキ(コース下見)

ラリーでは本番の前にコースの試走を行い、ペースノート(競技中にコ・ドライバーが指示を出すための情報を書き留めたもの)を作成します。この作業自体は基本的には日本と同じですが、比較的広いエリアに点在した5本のステージを各3回ずつ(日本は2回です)1日のうちに見て回らなければならず、イタリアの交通事情もわかりません。

出発は朝6時、帰着は20時過ぎ。総走行距離は500km超。コ・ドライバーの漆戸選手にとっては道案内からペース配分、オフィシャルとの交渉、最も大切なペースノートの作成、チームとの連絡、そして何よりずっとイライラしているドライバーのコントロール(笑)など、まさに休む間もない超ハードな一日。……効率よくレキするための最短ルートを事前に用意するも、やはり慣れない道路事情で思うように進められず、精度の高いペースノートが作れたかどうか以前に、無事すべてのコースを回れたことだけで精一杯。クルー2人の緊張・不安はこの日が頂点でした。

 

 

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◇コースの特徴(下見で分かったこと)

レキを終えた私の感想はただひと言、「こりゃいかん・・・」でした。

基本的には日本でいう平均速度90km/h台の「超高速」レイアウトで、主体になるコーナーが日本に比べ2段階くらいずつ高く、緊張が強いられっぱなし。それに加え、日本では“絶対ありえない!”ような、コーナー中の路面のうねりや、“絶対に曲がれない”シケイン(笑)に、ただ面食らうばかり。さらにコーナーの曲率や勾配、舗装状態といった要素が複合的に重なり、微妙に変化し、つながり合って、今までに経験したことのないバリエーションの“幅”を生み出していました。

レキではコースの形状などをドライバーが表現し、コ・ドライバーがノートに書き写す作業を行いますが、あまりに幅広いバリエーションがあったため表現しきれず、ペースノートに十分な情報を落とし込むことができませんでした。

そこで最初から全開走行を行うのは無理と判断。幸運にも同じステージを複数回使用するコースレイアウトのため、リピートステージ以降で腕試しをするという作戦を立てました。

 

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◇9/23 シェイクダウン~セレモニアルスタート~SS1~ローマ市内パレード

ローマ市内から40 分ほど離れた山間の街を拠点にシェイクダウンを実施しました。ステージ距離は約2km。スムーズな路面のステージで、本番のシミュレーションというには違和感があります。ちょうど朝まで雨だったとのことで、ここでの課題はピレリ製のFIA公認タイヤで初めてのセミウェットコンディションを体験すること。最初こそリズムが取れませんでしたが、3回目の走行では同クラスの選手とほぼイコールのタイムを出すことができました。

“リピートステージではいい勝負ができるかも”という好感触を得てシェイクダウンが完了。ラリー開幕を待ちます。

 

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ローマラリーのスタート会場は市内の巨大ショッピングモール「EUROMA 2」でした。セレモニアルスタートの会場はラリーカーとラリーファンで埋め尽くされ、有力選手の前にはサインを待つ長い行列ができました。そして私たちの前にもたくさんのギャラリーが集まってくれました。これは日本人という物珍しさに加え、今回のラリーで唯一のイタリア車であること、そして日本のPLUM( www.pmoa.co.jp )さんが制作してくださったABARTH 500 Rally R3Tのオリジナル・プラモデルを配布した効果もあったと思います。300個用意したプラモデルはあっという間にギャラリーの手に渡り、ライバル選手からもねだられるほどの人気ぶりでした。

イタリア国内のメディアからも取材を受け、私たちが想定した以上に注目され、歓迎されていることを実感することができました。

 

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 セレモニアルスタート会場から2km ほどの距離にある特設コースには、2万人を超すギャラリーが集まりました。ラリーのSSは通常1台ずつ出走しますが、SSS(スーパースペシャルステージ)と呼ばれるSS1は1つのステージを2つに区切り、2台同時にスタート。後半はスタート位置を入れ替えて再度スタートする方式です。勝者と敗者がはっきりわかるので、日本からの観戦ツアー参加者の皆さんを含めたギャラリーはさぞ盛り上がるだろうという思いがさらなるプレッシャーになります(笑)。

慣れない小技の連続が要求されるコースながらも、後半戦では何とか形にして勝利。幸先のいいスタートを切ることができました。

 外からその走りっぷりを見てくれていたイタリア人のチーム関係者が主催者に推薦してくれたこともあり、SS1のインカ―映像はACI(Automobile Club d‘Italia、日本のJAFに相当)公式チャンネルに取り上げてもらえました。

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SS1を終えた後、全てのラリーカーはローマ市内の有名観光スポットをめぐるパレードランに出発しました。イタリア警察の車両にエスコートされ、目抜き通りの交通を全面封鎖するという極めて大がかりなもの。ラリーカーがローマ市内を、文字通り“爆走”するさまは、壮観そのものです。ドライバーとしては“こんな楽しい思いをして皆さんに申し訳ない”というくらいの夢のような時間を過ごしました。ラリードライバーを続けていて、本当によかった。心から思える、贅沢で幸福な経験でした。

 

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◇9/24 ラリー本番 一日目(SS2~SS10)

いよいよラリー本番のスタート。最初の1ループ(SS2~SS4)は気負わず、落ち着いて、コースに慣れて情報収集を行う、慎重にスタートし学習に徹する、と心がけてスタート。しかし日本での経験やイタリアでの事前テストとは全く異なるリズムに対応ができず、FIA R3クラスのトップ選手とは目を覆いたくなるような大差がついていました。

自らの不甲斐ない走りに、「こんな走りでは日本でも通用しないなぁ」と、ストレスから次第に平常心を失いつつあった、というのが正直なところです。「早く1ループ目を終えて、2ループ目からプッシュしたい」と気持ちが焦ったその瞬間、

クレスト(先の見通せない起伏)へオーバースピードで進入し、そのままジャンプ。
着地した先に道はなく、右フロントから大きくコースアウトしました。

 ドライバーとしては最も恥ずべき“最低・最悪のミス”でした。

コースアウト地点のブッシュが衝撃を吸収してくれたため、マシンには自走不能になるようなダメージはなく、私や漆戸選手も無事。自力でステージに復帰できたのは幸運だったとしか言いようがありません。しかし足回りには少なくない損傷を受け、全開走行は不可能に。この日の目標を「完走」に切り替えざるを得なくなりました。

 ドライバー自身のミスで“腕試し”を始める前にチャンスを失ってしまいました。

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その後、完走を目指して我慢の走行を続けるなか、つづら折れのヘアピンが続くSS8でドライブシャフトが破損、ついに走行不能に。日本では一度も破損したことのないアバルトのドライブシャフトですが、サイドターンが18回も続く場面での負荷の大きさを考慮できなかったことが原因です。今思うと、コースアウトで負ったダメージで速く走れないぶん、大き目のアクションでギャラリーを沸かそう、と、ついつい色気を出したのかもしれません。

 1日目は“土俵に上がるなり自ら勝手につまずいて敗戦”という状態です。長年の夢を実現するどころか、反省しか残らないデビューになってしまいました。

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自走できない車両を回収し、失意のうちにサービスパークに戻りました。

するとチームから記者会見に出るように、という指示が。上位選手のみが招集されるのに、なぜ?と首をかしげていると、「日本人の大ジャンプが話題になっている」とのこと。

このときのことは正直あまりよく覚えていません。悔しいやら情けないやらの気持ちを隠すために無理やり笑顔を作り、イタリア語の質問に汗だくになりながら答えていたようです。

roma2016_038-001サービスパークに戻ると、Sportec Engineeringの精鋭部隊が一丸となってマシンの修復を行っていました。一目でプロフェッショナルとわかる繊細な手つきと無駄のない動きに、翌日の完全復活を確信しました。

 

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◇9/25ラリー本番 二日目(SS11~SS15)

再出走が認められた二日目、ローマ市内から山岳地帯へ移動するリエゾン(移動区間)で、マシンの状態が完全であることを確認しました。チームスタッフの期待に応えるためにも結果を残したい。気持ちが高まります。

ところがいざSSがスタートすると、ドライバーは前日のミスを引きずったまま。マシンの挙動やペースノートを信頼しきることができません。タイヤの特性も全く活かせないまま、過去数年でワーストともいえる走りで1ループ目(SS11,12)を終えました。

残された1セクション、このまま日本に帰るわけにはいかないと気持ちを入れ替えてアタックを開始します。二度目のクラッシュはできないので100%全開ではありませんが、漆戸選手のノートリーディングと、チームメイトの気持ちがこもったマシンの挙動に神経を研ぎ澄まし、自分なりに“パリッとした”走りができているという爽快感とともにステージを駆け抜けました。

結果、1日目に比べてクラストップとの差を半分にまで縮めることができました。

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フィニッシュ後、チームのコーディネートを担当したMichele Ferrara氏に声をかけられました。

「最新のRENAULT CLIO R3Tと、発表から年月が経過したABARTH 500とでは、マシンの差だけで1kmあたり1秒以上の差があってもおかしくない。その差未満で走った君のタイムは想定以上だ」

 最後に「次回は周囲を唸らすタイムをもっと出せるかもしれない」という感触を得て、ラリーを終えることができました。

 

 

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◇“ドライバー”として振り返ると

夢にまで見たローマラリーは、想像以上に変化のあるコースに苦しめられました。レキの時点で“最初から全開は無理”と悟ったにも関わらず、“飛んではいけないクレストで飛んでしまった”ことは、ドライバーとして最低かつ最悪のミスで猛反省をしています。

一方、Day 2の最終セクションでクラストップとの差を“マシンの性能差未満”まで削れたのは、これからも挑戦を続け、将来的にトップ争いに絡んでいくための明るい材料です。

 イタリアナショナル選手権(C.I.R)、少なくとも2WDにおいては、「ドライバーがマシンの性能をきっちり引き出し、正しい運転をすると記録できるタイム」という、高いレベルにあることを理解することができました。低い壁ではありません。しかし決して乗り越えられないほどに異次元の壁ではありません。

 近年、日本国内のラリー人気が高まっていますが、コミュニティを挙げての支援、熱心なギャラリーの応援、華やかな演出を含めた「ラリー文化」に圧倒され、なによりも日本とは比較にならないほど複雑な表情を見せる「道」そのものに大きな魅力を感じました。

 改めて眞貝とmCrtのイタリア選手権への暖かいご支援、ありがとうございました。皆さんの強力なバックアップにより充実した体制で走らせていただいたにもかかわらず、海外ラリー初心者が陥りがちな罠にまんまとはまってしまったことを恥ずかしく思います。何とか最後のセクションだけは形になって前向きな感触をもって終えられたこと、現地やネットで観戦してくださった皆さんに楽しんでいただけたことが救いです。

ここまで来たからには、皆さん全員に祝福していただけるような結果が出るまでやり切るしかありません。2017年もこの困難な挑戦を続けていきたいと強く願っていますので、またチャンスをいただけたら幸いです。今後とも眞貝とmCrtへの変わらぬご支援を、どうぞよろしくお願いします!

 

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ムゼオ チンクエチェント レーシングチーム 所属ドライバー

眞貝 知志(しんかい ともゆき)

 全日本ラリー選手権2012年JN-3クラスチャンピオン。2014年よりmCrt(ムゼオ チンクエチェント レーシングチーム)所属。2015年には全日本ラリー選手権にFIA R規定車両を初めて導入。ABARTH 500 Rally R3Tをクラス優勝に導いたほか、年間最多SSベストタイムを奪取した日本国内で最速のアバルトドライバー。ドライバーとして感じ取ったマシンの挙動を論理的かつ平易な言葉で表現する能力にも長ける。アバルトユーザー向けドライビングスクールのメインインストラクターとしても活躍中。

 

 

mCrt RALLY TEAM PARTNER2016

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We're-thinking-about-you,-Italy